死に脅｛おび｝えながら

人間は産まれた時は誰にも知られずに役所の手続きだけでひっそりと生きる事が出来ますが、此の世を去る時はお金持ちは賑やかにお見送りを受けながら旅立って行き、お金が無い者は借金をしてでもひっそりと送り出します。

お葬式の費用が無いと言って野原に捨てた人の話を耳にした事も有りますが、難儀な事に警察は決して見逃してはくれません。此の世との別れは簡単に済まされないから困ります。自分が生きて居る時には絶対に必要な事が、最近は死後の事務的な手続きが凄く複雑になっているから、残された者は其の処理に悩む事が多いようです。

金持ちに悩みが有るように、貧乏人にも其れなりの悩みが有って気易く”ハイさようなら”とはいきません。こんな時に自分がどれだけ生きられるかが分かって居たら後始末がし易くて助かるのにと思います。朝元気で家を出ても命の保証が無い時代です。自転車で顧客周りをして居る人に向かい「若いからと安心しないで　気を付けて下さいね」と言って居ます。外で働いている人は常時危険にさらされて居るから恐いのです。